WACCAが、サービス終了する。

 

WACCAが、サービス終了する。

受験期真っ最中に触り始め、その面白さで私を魅了したWACCAが。

無限に近いゲーム性によって、より難しい譜面をこなしたいと思わせてくれたWACCAが。

WACCA愛する人々を、交流会等によって繋げてくれたWACCAが。

 出会い、そしてゲーセン音ゲーにおける私の一番のメイン機種となって、音ゲー人生の半分を支えたWACCAが、サービス終了する。

 

 ならばせめて、その記憶をいつまでも忘れずにいられるように、WACCAに関わってきた思い出を、ここに書き留めよう。

 

WACCAを触ったきっかけは何だろうか。

 触った時期は受験直前、1月を越えるか越えないかだっただろうか。始めた時期は思い出せても、始めることにしたきっかけは意外と思い出せないものだ。

 果たしてそのきっかけはやしきずのWACCAツイートからだろうか、サ終した某ゲームの匿名戦で「ルイネさんならWACCA知ってそう」みたいなことを言われたことだろうか。最初にプレイした楽曲はKnight Riderだった気がするな。まだKnight Riderが12(12+という難易度はそもそもない)だった頃だ。懐かしい。

 あの頃思った感想として言いたいことは、とにかく曲が強い。Gate Oneとか13 DonkeysとかQuonとかKnight Riderとか。その上で、動きを大きく取れることや、譜面演出の良さも強く印象に残った。それらの要因が、WACCAというゲームをメインに据えてプレイしようと思わせてくれた。

 当時驚いた譜面演出で思い出されるものとして、Gate OneのGate全周ホールドや、QuonのBreakのホールドに従って動くレーンが挙げられる。これらの譜面で感じた没入感は、他の音ゲーでは得られないものを与えていた。今考えればQuon赤とか激ヤバトンデモ譜面だけど。AMどころか99も雲の上だった当時の私には関係のないことだ。

 とはいえまだ受験期な上に特に金も持っていない高校生。ガチ勢と比較できるほどWACCAをやり込んでいる訳ではなかった。受験勉強の合間(厳密に言うと受験勉強の前)にゆったりとWACCAをやりつつ、日々を過ごしていた。

 WACCA始めたての頃は練習曲としてThe Light、Gate One、13 Donkeysあたりを演奏していた。その後WACCAらしさに慣れるためにBOOM BOOM BOOMを重点的にこなした記憶がある(上半分で左右スライドするのは当時はとてつもなく難しかったものだ)。慣れてきた時期にはStratolinerを延々と連奏していた。グルコスだったりでフリックには親しみがあったため好物だったのだろう。あとはLEVATEiNやメチャクソに苦しんだ記憶もある。

 13に挑戦できるようになったらJINGLE DEATHを重点的にやっていたっけ。その理由は単純で、13の中で出来るような譜面がそれくらいしかなかったという理由だ。とはいっても当時は音ゲー全体に対して文句なしのエンジョイ勢だったから、あのくらいのBPMにも全く追い付いてはいなかったが。それ以上にADAMやconflictの腕振りに対応出来ていなかった。

 というかあの頃にWACCAをやり込んでた人凄すぎないか?ExitiumとかInvisible Frenzyとかがすでにあったのにも関わらず、13すら数える程しかなかったような。実際wikiを確認したら13はヘドバンPoseidonADAM破壊JINGLE DEATHバトワンFDconflict隠しコマンド消失だけだった。1日で全部プレイ出来るくらい曲が少なすぎるし、加えて癖の強い譜面しかない。辛うじてADAMとJINGLE DEATHがまだまともなくらいだ。要求される難易度の差が大きすぎて、WACCAで地力上げなんて出来たものではない。まだサブ機種としてちょっと楽しめるくらいの音ゲーだった。

 そんなこんなでWACCAをやっていた訳だが、始めてさほど間がない時期に立てた目標が一つある。それはExitiumの97である。なんやこのかっこいい曲!めっちゃやりたい!となったのだ。今でもとんでもなく難しい譜面として君臨しているが、当時ももちろんとんでもなく難しかった。Exitiumは、当時はまだ少なかった高速大回転や、Breakにおける全周を覆う4つのホールドを頑張って取る地帯が大好きだった。Breakの地帯は、音の刻みは2分と非常に間隔が大きいのにも関わらず、WACCAでしか実現できないような操作を要求していた。ものすごい抜けたし、今も結構抜ける地帯ではあるが。最近でも似たような配置はあるが、ノーツをしっかり重複させる場合が多く、Exitiumよりは抜けにくくなっている。これがノウハウの蓄積ということか。20回くらい連続でやったわけだが、写真を見返す限りでは97は乗せられなかったようだ。

 Jagermeisterが収録されたころに「WACCAはこういう方向で曲を収録するのかな、面白い」みたいな言説を見かけたり、CHECKER FLAG, jacaranda, BLVST BEVTが収録されたり。恐らく初めて経験したオリジナル寄りのWACCAの楽曲追加で、COSIOさんの曲が入ると知ってめちゃくちゃ嬉しかった。今でもその楽曲追加を強く覚えているくらい印象に残っている。プレイしても当時は気付いていなかったけど、CHECKER FLAGはなかなかのヤバ譜面であった。jacarandaが、曲が好みな上にXYの譜面も面白かったので沢山プレイしていた思い出がある。

 そこからほどなくしてWACCA Sにバージョンアップした。この辺りからはコロナ禍が本格化したり、受験期追い込みが起きたり、単純に他のゲームにハマったりでゲーセンに行く頻度は少なくなった。受験が終わってもコロナ禍の影響でゲーセンに行く頻度は増えなかった。エイプリルフール称号回収のためにゲーセンに出向いたくらいで、それ以降はいよいよゲーセンが閉まって全くゲーセンに行けていなかったと思う。あの頃何してたっけ、コロナで新学期の開始が遅れた時の期間、何していたか正直全く覚えていない。ゲーセンに行ってはないし、おうちボルテはまだ始めていないし、Steamのゲームもほとんどその後のサマーセールに買ったもののはずだし…Kenshiでもやってた?

 2ヵ月くらい経って、Brain Powerが追加されてグルコスコラボが終わるか終わらないかくらいの頃に一回ゲーセンに行っただろうか。風神ブチギレBrain Powerあたりはやった思い出が残っている。当時はまだしっかりぶん回すタイプの譜面が少なかったため、Brain Powerが一番難しく感じた。風神やブチギレは(リズムを知っていたこともあるかもしれないが)むしろ簡単と感じた思い出がある。気が付けばブチギレは13.9だ。Brain Powerも当時の難易度であった12ではなくなったものの、13.0で、この曲目の中では一番低い。当時はとんでもなくぶん回させる新時代の譜面だったが、気づけばそんなぶん回しにも慣れてしまった。

 その後はグルコスとWACCAの復刻コラボにおいて、(全休を生成出来たこともあり)グルコスのオンライン対戦イベントでめちゃくちゃ周回して、最終2桁を記録した。

 確かこの時グルコスにExitiumが追加されていた気がするが、グルコスの方もExitiumはとんでもなく難しかった…。また、イベントの課題曲かつグルコスのSteam版に入っていた高難易度ということで、風神をめちゃくちゃ練習した思い出がある。Steam版の更新も実質終わってしまったが…。

 それが終わってからもう一回WACCAをやった。XTREMEと天使光輪が追加されてしばらく経った頃だ。あの頃はINFERNOなんていう概念はなく、また告知もなかったため、認識出来たのはXTREME 12と天使光輪 13という難易度だけで、告知の割に別に14じゃないのか…と少しがっかりしたり。その後INFERNOという難易度が追加されて頭が追い付かなかった。コラ画像か?と。

 その頃にリアル初音ミクの消失をプレイした。あの頃の譜面の中では、要求地力としてはトップクラスに高い地力譜面だったと思う。今でも通用するくらい強いぶん回し譜面で、あの頃の譜面の中だと突出してぶん回しを要求されるものだった。そのため当然のように全く追い付かず、14を除けば最強の譜面なのでは?と感じた。ラスサビのぶん回し、出会った最初は追い付くわけねえ…と思い、流石に楽する方法があるのかな?と譜面動画を確認したら正攻法で取っていて絶望した記憶。だがその無理ゲー感が面白さにつながって、気付けば推し譜面に変化していた。当時の実力と難易度を考えれば凄いことだが、FC粘着という概念を実行した。ちなみに、ガチり始めてからはFCが気にならなくなったということもあって、WACCAでFC粘着を実行したのは後にも先にもこの曲くらいだろう。

 それと当時の私はステージアップXIIにすでに受かっていたらしい。当時のステージアップ12の曲目は、Knight Rider→Poseidon→BIG HEAD BANGINGであった。Knight Riderは当時からたくさんやってたし結構安定していた記憶もあるが、それを抜きにしてもこの曲目ヤバくない…?ライフの許容は広いとはいえ、よく受かったな。

 そこから先はボルテにハマっていたのもあって、たまに追加された新曲を触るくらいでほとんどやっていなかった。WACCA Lilyになるにあたってレートなんてものも実装されたが、当時は一切気にしていなかった。

 時は飛んで新年度、大学は2年目、なぜか横浜国立大学音ゲーサークルGo Beyondに入部し、その後、ごびよ大エンカ会を開こうという流れになった。このエンカ会の日が6月13日である。このエンカ会が、このエンカ会こそが、私がWACCAを本気でやり込むことになったきっかけとなる。ごびよにはなぜかWACCAを触っている人がやたらと多く、更にエンカ会場となった横ラは当時WACCAが8台あった。その上あの時はWACCAに人気が本当になく、日曜日にも関わらずやっている人が全然いないという状況だった。この状況は大人数がエンカして一斉にマルチプレイするには都合が良く、色々な曲をわいわいとプレイしていた。

 そしてエンカ会も終盤に差し掛かる頃、せっかく8人以上いるわけだし、WACCA8人同時プレイしませんか?ということに。

 トラックメイカーとメチャクソはさておいて、最後のKnight Riderである。Knight Riderは初めてから今まで、安定してそこそこの頻度でやってきた曲だ。そのため、自己ベも99を越えていて、この曲には自信があった。そのため、この場所で1位を取るぞ!と意気込んでいたのだが、結果は惜しくも2位。これが悔しくて悔しくてたまらなくて、もっと出来るようになりたい!と強く思った。ちょうど対面授業が生えたこともあり、ゲーセンに通い詰めてWACCAの実力を向上させる旅が、ここで始まった。

 そして13を下から99で埋めていた。その旅の最中で特筆すべき事柄が、ごびよでのWeeklyスコアタWACCA編である。ここでの課題曲はフィクサーだった。恐らく人生初めてのスコアアタック、12.9で、フリックヤバ譜面であるフィクサーを、研究を重ねたり、連奏したり。そして少しずつ捌けるようになって、遂に。

 人生初のEXPERT理論値。そして、恐らく人生初の曲内最高難易度における理論値であった。今まで理論値詰めなど雲の上のお話だと思っていた。しかし今では13の理論値を埋めようとするくらいの実力にはなった。WACCA人生だけでなく、音ゲー人生全体をも変えた一回だと言えるだろう。

 これからもコンスタントにやり続け。しばらくは特に山も谷もなく13や13+の99を埋め続けたが、その中でもとりわけ印象に残った譜面を色々挙げていこう。

 BSCS。13の99を討伐する旅に出ていたのだが、BSCSに関しては全く99出る気配がなかった。唐突に出てくる3点タップ、ひねらせた状態で飛んでくる縦連、抜けやすい全周タップ…テクニカルで、事故にもなる要素が多すぎる。そのため、当時出ていた13の中で、99を出したのは一番最後にさえなった。99を出すために20回くらいかかった。これはフィクサー理論値を出すまでと大体同じ回数である。意味が分からない。だが、今ではeden赤とかsilentphobia赤とかソロモンナイトとかCloudIXとかそれ以上にヤバい譜面がいる。意味が分からない。

 Animosity。当時出ていた13.8の中では二番目に99を乗せるのに苦労した。中盤の例の地帯と終盤で順当に削れ、順当に死んでいたのだ。まさかReverseのステージアップにこいつがやってくるとはね…

 Let you DIVE!(INFERNO)。丁度更新が入った日、日曜日でたまたま空いていたのでやってみようということに。そしたら譜面がそれはもう物凄いことになっていて、余りの美しさに感動した。この譜面からWACCAの譜面が芸術となっていったように思う。まだ13の理論値は取っていなかったが、理論値詰めをしたいと思うほど楽しい譜面だった。結局998で終わったし、この譜面は間違いなく13理論値がない状態で理論値詰めをしてはいけないくらいには地雷譜面だが。現在は998すら全然取れない。過去の俺は代行か?と思うくらいにLet you DIVEが上手い。

 eden赤、Silentphobia赤。今現在もステージアップXIVで猛威を振るっている2曲の赤い方。どちらもとんでもない譜面をしていて、eden赤は中盤の判定は乱数になるし終盤のトリルは無理ゲーだしで、99を取るにも99を取った後にも苦しませられる譜面となっている。現在の13最低スコアである。何回やっても追い付かない。Silentphobia赤は、癖の少ない地力譜面ではあるものの、要求される地力が完全に13の域を超えている。一応13を99で全部埋め、13+の99も増やしてきた段階で初見92というスコアを叩き出すとは…。

 ぼくの夢、メチャクソ無限湧き(INFERNO)。INFERNOは強く印象に残るような譜面で、芸術的で素晴らしい譜面ばかりだ。それはINFERNOが出てから今まで変わりない。その中でもとりわけ革新的だった譜面がメチャクソである。WACCAの楽しさをふんだんに詰め込んだ、出る前には想像もつかないような譜面である。この辺りからのWACCAの譜面制作技術は、もはや他の追随を許さない域に達していたように思う。そしてWACCA Lily Rが終わりを迎える。最終的なレートは2709だったようだ。

 そして真面目にやり始めてから最初の、そして最後の大型アップデート。WACCA Reverseの誕生だ。バージョンアップと同時に追加されたものの中で注目していたのは、種1推しとして嬉しいFamFam、13+の中でも上位の地力を要求するカラコ、当たり前のように追加された14の最強とメタミス、13.8が嘘としか思えないYOGだろうか。

 #1f1e33。Arcaeaコラボでやってきた高難度地力譜面で、その難易度はINFERNO勢を除けば当時13+最強クラスだったARTEMiSと並ぶほど。地力譜面なのである程度まではスコアが伸びやすいが、そこから先は少しずつ削れたり、終盤のトリルでガリガリ削れたりで99を乗せるのに苦労した。987くらいのスコアを∞回踏んだ記憶がある。

 XTREME(INFERNO)。初めての14鳥プラはXTREMEだった。出た当初は14の新しいヤバい譜面!!!なんて思っていたが、やってみると意外とどうにかなる地帯が多い譜面でもある。それでも取れる気のしないトンデモ配置も数多く存在するのだが。ちょうど2700になるタイミングで初めて14の99を取れたため、とても喜んでいた。

 Poseidon。Reverseより前に出た譜面で、99を取るのに2番目に苦労した譜面がAnimosityだった。そして1番苦労したのがPoseidonだ。人権侵害クラスの違憲配置がこれでもかというくらいに飛んでくる。今でもそうだが、苦手な上に純粋にやりたくない譜面である。実際、これを出して以降、半年近くの間1回も触っていなかった。

 YOG。13.8を自称しているが、これはどう考えても13.9である。13+の99埋めをそれなりに進めていた人間がプレイして、2クレ分くらいプレイしても99どころか95すら乗らないのは流石に異常事態だ。全体的に操作が速すぎて、追い付けなくなったら最後全てが叩けなくなる。この譜面が13+99埋めで最後から2番目になるくらいには、この譜面は難しかった。

 Sound Chimera(INFERNO)。13+99埋めの最後の譜面はSound Chimera獄であった。妥当なルートだろう。純粋に要求地力が13+の中でも特出して高すぎる。これ闘神祭で理論値出した人がいるってマジ?よくわからない…。

 そして13+の99が埋め終わって、次の作業は14の99埋めである。始めた当初は14なんて観賞用くらいの認識であり、99を詰めるものなどという認識はなかった。成長とはかくも恐ろしいものである。

そして夏休みにゲーセンに通い続けて14を着実に埋めていって…

 eden(INFERNO)。ステージアップXIVでも猛威を振るっている、当時最強格の譜面。個人的には今でも14.1の中でも頭一つ抜けて難しいように思う。未だに99が安定しない、数少ない譜面の一つである。この99によって、当時のレート理論値が達成された。レート理論値、今ではそれを達成する人がそれこそ数人くらいしかいないという惨状になってしまったが…。

 そして夏休みは終わる。授業が18コマ入るとかいうとんでもないことをしでかした結果、この期間はほとんどゲーセンに行けていない。あったことと言えば、闘神祭の予選だろうか。一番最初の関東予選は忙しさ的にまず間に合わないだろうと諦めていたが、最後の関東予選に向けて、ちょっとずつ練習していた。コロナ禍が明けて大会の枠が広がってから、一回くらいは本選に出場してみたかったな…なんて思うけど。

 授業が始まってからは、忙しさの合間を縫って課題曲を練習しつつの日々を過ごす。99を埋め終わって次にやることは、13の曲をより高スコアで塗り替えていくことである。色々とやってみて、998が目標に相応しそうだな、ということになった。そして、その目標は今も続いて、13+や14の998を狙っている。流石にそのレベルになると、どうしても通せないような配置にぶち当たったり、凡ミスが積み重なって簡単に切ってしまい、なかなか増えなくなってはいるが。今のところ13以上の998は7割くらいの譜面で達成している。14が増えすぎたせいで体感より低い…。

 それと並行して、初めて参加するイベント、WACCA紅白戦に向けての準備を進める。前回の配信を見たところ、ざっくり同じくらいの地力帯では12+がランダムで投げられるということで、12+をとりあえず対策しようということになった。あの時に12+はほとんどやっていなかったが、面白い譜面が多かった。これくらいの難易度でも面白く、かつ譜面ごとに個性を出せるのは、他の音ゲーにはないWACCAの強みである。

 適当にプレイしたらなんか出たやつ。もともとaranさんの曲は大好きで、VOLTをきっかけにグルコスにハマり、Random Access Emotionをきっかけにオンゲキを始めるくらい、自分にとって影響力の大きい作曲者だ。そんなaranさんの曲がTANO*Cメンバーということで沢山収録される、というのもWACCAにハマった一つの要因である。そのaranさんの貴重な高難易度譜面、Mazy Metroplex。曲も良いし、低速かつフリック多めという、性癖ど真ん中に直撃させたような譜面をしている。このBPMでここまでテクニカルで難しい譜面を作れるというのは、これもWACCAの特色と言えるだろう。

 そして交流会当日。ランダムでやらされそうな12+は一通り触ったし、当たりそうな対戦相手に投げる自選はランキングを見て勝てそうなものを厳選した。経験の差もあって勝てる気はしないけど、出来ることはしただろう。と思いながらスポランに行き、チーム発表を待つ。

 バグが生じた。かたやほとんどの曲で理論値を出し、14すら理論値を出してしまうほどの実力者、その一方私は無理矢理99で埋めたくらいで、13も13+もほとんど990程度しか出していない。対策は全て水泡へと化した。このマッチは一切想定していなかった。今でもこのマッチメイキングは許していません。

 理論値でないものを探す方が難しい実力者に刺せそうな曲など用意していない。諦めてとんでもない醜態は晒さなさそうな、この前理論値を出したMazy Metroplexを選曲する。結果は9979。決して悪くはないスコアだと思うが、闘神祭課題曲だったというのもあり、実家で返された。ランダム選曲も当然のような14。無理すぎる。

とはいえ初めてのイベント参加は間違いなくモチベーションの向上に寄与した。

 唐突に追加された14.0、XODUS。WACCAらしからぬ指押しラッシュは数多のWACCAerを苦しめた。私もそのうちの一人だ。だが、どうにかこうにかしてレート理論値を奪還することが出来た。これが2日限りの泡沫の夢であることも知らずに…。

絶望の音。

 EPHMRはとんでもないフリックを要求してくるし、Dimension Hackerは超絶リズム難と人間を辞めたBPMから繰り出される物量、DANGEROOOOUS JUNGLEはひたすらに降ってくる異次元配置に筐体の前で呆然としているしかない。クリムゾン帝王はもはや全てを過去にした。前3曲はなんとか99を乗せられたものの、クリムゾン帝王は詰める気すら起きないレベルで難しい。今ではこの譜面すらも過去のものになってしまったが…。

 BEATECHにおいてもスコアアタックが開催された。あまりにも課題曲を投げる人が少なすぎてWACCA課題曲のほとんどが俺が投げた曲、なんてことにもなった訳だが。スコアタWACCA部門を破壊した。

 998を詰めていたらなんか出た、今までで一番すごいリザルト。これは奇跡としか言いようがない。ちなみに別にそこまで得意な譜面傾向というほどでもなく、これを出してからあまり触れていないという実情。

 あとは既存曲の998や理論値を増やしたり、新曲の13で理論値を出したり。この辺りから13+の998が出そうな曲はほとんど埋まってきて、実力が煮詰まってくる。そろそろ金掛けて強引にリザルト出すしかないレベルに入ってきた。

 そして日が開き、でかいイベントがやってくる。闘神祭と、それに被ったスコアタ。どちらも可能な限りの対策を施した。結果としては敗北だが、調子としては悪くなかったと思う。本番に潜むモンスターというよりは、ただ単純な実力不足。こういったイベントで勝てるくらいの、安定した地力が欲しいところだ。

 あと予選決勝のedenみんな上手すぎて怖かった。なんであのトリルとか追い付くんすか…?

 ここら辺は高難易度譜面で詰められるものがやっても出なさそうなものばかりになってきているため、たまにゲーセンに行っては理論値をちょっとずつ増やす、みたいな流れとなっていた。しかし理論値埋めは心臓に悪い。フルコン出来たら大喜び、くらいの認識だった自分が、気付いたら理論値で埋めるなんていうとんでもない営みをするようになっていた。恐ろしい話だ。

 そして始まるWACCA最終章。この発表がされた時はそれはもう大騒ぎだった。Reverse最終章でもうすぐ大型アプデがやってくるのか、いやでもこれWACCA Reverse最終章じゃなくてWACCA最終章だぞ、でも店舗がWACCA増台したって話もあるし、サ終するならわざわざ筐体増やすか?ホームでも最近はWACCAをプレイするライト層をよく見るようになったし、流石にサ終はないだろう…

その時は、そう思っていた。

それは置いといて、振り返りを続行しよう。

 Onigamiは過去一番と言っていいほど神譜面だった。BPM150で音数もそれほど刻んでいないような、音ゲー向き、それも高難易度向きとは言い難い楽曲だが、こういった楽曲はむしろWACCAの得意分野といえよう。そう思って期待を膨らませていた。そしてやってきたのは難易度13、12+かもなとは思っていたが概ね予想通り。そして譜面を開く。なんだこの譜面は。

 予想を遥かに超えた斬新かつ楽しい配置がそこにあった。ただの4分打ちにここまで多彩な表情を与えられるとは。毎回予想を超えてくれるWACCAの、まだ見ぬ無限の可能性がそこに存在した。

 そして次はスコアタ。Stratolinerという初期の推し譜面が来たとなっては、もう頑張るしかない。本番ではStratoliner理論値を出せたり、???枠のリアル消失もFC粘着をした推し譜面だったりで、今までのWACCAの総決算にふさわしいような良いスコアタを出来たと思う。結局7位くらいで終わったけど…みんなリアル消失上手すぎないか?とはいえ後悔は全くない。

 これはスコアタの後夜祭でステージアップXIIIの銀を狙ってたらへルフレで2-0-2というトンデモを出してしまう図。

 seiluさんのスコアタに参加したり。これを通じてExitium詰めたら996が出て、すでに14に対しても意外と通用する地力を持っていたことを知る。このスコアタを皮切りに、14に対する抵抗感がなくなって、14のスコアが全体的に出るようになったと思う。LOVE!HUG!と赤神は結局理論値を取れなかったが、後悔が残るほどではない。

 この日は紅白戦が開催されていた。即日で定員が埋まってしまうほどの人気っぷりで、私もちゃんと気付いて参加するつもりではあったのだが、英語第九とかいうカス科目から繰り出されるカスTOEFLのせいで紅白戦に出れなくなってしまった。とても悲しい。仕方がないのでカスTOEFLを受けてからスポランに向かう。そしたらPoseidonを投げられた。1クレ1曲目にするPoseidonは滅びの音色を紡ぐ。

 この時期は本気で忙しかったが、忙しいなりにWACCAをやってはいた。たまにやるWACCAは、これ以上ない純粋な「楽しさ」を得ることが出来て。

 あっとさん主催の交流会に参加した。際限なく増していく忙しさに精神を削りながら、そしてオンゲキにドはまりしながら、レベルごとやミラー枠に投げる自選曲を決めて対策したりした。くじを引いた結果は「自由」。運がある。kazuweeの助言のもと、高得点勝負にはなってしまうものの安定している推し譜面であるTWISTSTEPを投げることに。そして結果は自選曲で1位、その他も両方ともに2位。間違いなく上振れで、文句なしの結果を残すことが出来た。1-0-0, 3-0-1, 1-0-0はとてもレベルの高い成績だったと思う。

そして、これからのWACCAの末永い無限の発展に胸を膨らませながら生活していた。

 

するはずだった。

 

 

 このニュースを見たとき、思考が止まった。WACCAのサービス終了。音ゲーのメイン機種のサービス終了だ。思考の濁流が始まる。意味のない考えが頭を循環する。もう出力は脳に全て繋がっていて、身体を動かす余力などあるはずがない。CPUの使用率は当然100%だ。それはもはや、現実を完全に受け止めることが出来ないということすら意味した。

 どうしてだ。WACCAはこれからまだ伸びしろがある音ゲーだ。その操作性は代替が効かないほどの拡張性を誇るし、譜面もその拡張性を十分に生かした唯一無二なものになっている。楽曲はTANO*Cメンバーをはじめとした強い面々のものが収録されているし、徐々に人気も増えてきている。単純なAC音ゲー市場の縮小、コロナ禍の直撃はあれど、それを乗り越えて好調に向かっていたのではなかったのか。

 2次元的な配置とフリック等のノーツから繰り出される多彩な操作は、自分の好みにぴったり合致したし、楽曲の好みもぴったり合致した。自分の好きな音ゲーは「鍵盤を楽しむ」音ゲーと「動きを楽しむ」音ゲーに分かれている。WACCAはその2つのうちの後者の需要にこれ以上ないほどマッチしていた。「動きを楽しむ」音ゲーとして私が楽しんでいた、唯一の音ゲーといっても過言ではない。

 「鍵盤を楽しむ」音ゲーとして好きな音ゲーは数あれど、「動きを楽しむ」音ゲーとしてWACCAに並ぶものは私にとってなかった。それのサービス終了は、すなわち音ゲーの軸のうち半分を失うことを意味する。そもそも音ゲー自体が今までの人生のうち半分以上を占めると言っていい程度には、私は音ゲーと共に生きてきた。音ゲーなしに私は存在しない。これは自信をもって断言できる。ということは、WACCAの喪失は、すなわち人生の25%の喪失といっても、過言ではないのだ。

 コンテンツにサービス終了はつきものだ。私自身楽しんできたコンテンツに対するサービス終了は、ないわけではない(どちらかというと、好きだったVTuberの引退の方が心当たりはあるが)。だが、サービス終了を経験したコンテンツは、人生の根幹を揺るがすほど私を占めるものではなかった。

 しかしWACCAは別だ。WACCAは私にとって数あるうちの1コンテンツではない。代用の効かない、唯一無二の存在だ。そのゲームのコミュニティに参加しにいったり、理論値という言葉を日常的に使うほどやりこませるような音ゲーは、そうそう存在するものではない。

 正直に言って、「オフラインで稼働するだけ感謝」とか、「オフライン稼働にしては本当にたくさんの曲を残してくれている」とか、「稼働終了前に25曲も追加してくれる」とか、そのような救いさえ私にとっては救いとなり得ない。それで前を向けないほど、この悲しみは大きすぎる。

 一晩経っても、この悲しみは癒えない。変わったのは、少しだけ冷静になって悲しみを正面から感じるようになったことくらいだ。

 

きっと、この悲しみは、一生癒えることはない。